日常感想文 -読書/お金/経済等-

本や経済ニュース、株等について感じたことを書きます。

「ホンダは自社で技術開発していない」を受けての感想?

 先週、以下のような記事が投稿され、話題となった。ホンダを3年で退職したという報告とともに、ホンダは自社で技術開発を行わないとの旨が書かれていた。私は技術者ではないので、記事の筆者の気持ちを理解できない部分もあると思うが、これに関して個人的な感想を述べたい。

新卒で入社した本田技術研究所を3年で退職しました

 私の経験からするとブログ記事は基本的には事実であると思われる。先進安全や自動運転に不可欠なカメラやレーダー等のセンシングデバイスに関しては、コンチネンタル、ボッシュデンソー、ZF-TRWなどのいわゆるメガサプライヤーが技術を持っているため、程度の差こそあれ完成車メーカーはサプライヤーに開発委託をし、日程や細かい仕様の整合を行っているはずである。このブログの筆者はエンジニアとして思いが強く、こうした自分で手を動かせない状況を非常にもどかしく感じていたのだろうというのは容易に想像がつく。そしてエンジニアであればこういった思いを抱えている人も多いのではと。

 一方で、センシング等をこうしたサプライヤーにいわば丸投げする戦略が完成車メーカーとして間違いであるとは言えない。こうした技術を自社だけで開発していくのは非効率であり、ほぼ不可能である。またブログの筆者は"技術開発をしない"と言っているがおそらく技術開発をする領域としない領域があるのだろう。個々の技術をサプライヤーに依存していたとしても、それらを統合していくための開発は行っているはずである。例えば、自動運転であれば、センシングデバイスの情報に基づいて、電動パワステを操舵させる必要があり、サプライヤーから技術を買ってきただけでは機能は実現しない。また、丸投げにするにしろサプライヤーや技術の見極めは開発の重要かつ難易度の高い仕事である。カメラといっても、単眼カメラ・ステレオカメラなどあり、またそれをセンサー類とフュージョンさせるかどうか等、自社の状況と技術の趨勢、サプライヤーの技術力などを見極めながら、サプライヤー選択をし、1台の車として機能を作り上げていくのは容易なことではない。

 上記のようなことから、私はホンダが"技術開発をしない"ということに関して特にマイナスのイメージを持たない。むしろ気になるのはホンダが組織としてモチベーションを保つ構造を作れていないのではないかということである。往々にして、一部分だけが切り取られた仕事を渡される若手にとっては、明確な意味づけなしに仕事のモチベーションを保っていくのは難しい。当該のブログの筆者はおそらく技術に対する探究心もあり、向上心もある前途有望な若者なのだろう。こうした若手を辞めさせず、育てられるかどうかが会社の将来に関わってくるのではないかと思う。

 まとまりなく書いたが、最後にほぼ私と同世代であろう当該ブログの筆者が次の職場でより活躍していけることを願う。